問題が深刻化する前に相談してもらうためには、悩んでいる人が普段から親しんでいるツールを用いることで、相談の敷居を下げることが、有用だと考えられるでしょう。その意味で、近年の若年層の主なコミュニケーションツールであるSNSによるカウンセリングは、現代、とても必要とされているものです。
しかしながら、SNSの特性を生かしたカウンセリングの手法はまだじゅうぶんに研究されてきておらず、SNSカウンセリングを発展させるためには、今後、経験を蓄積しながら、さらに研究を進める必要があります。その際、SNSカウンセリングに携わる人たちが、それぞれの経験を持ち寄り、より効果的な相談の仕方を検討したり、注意すべき問題について相互に警告しあったりするための公共的な場が必要です。本協議会は、そうした場として機能することが期待されます。
ちなみに、SNSカウンセリングは、従来の対面や電話によるカウンセリングに取って替わろうとするものではありませんし、それらのメディアでなされているのと同じことをただSNSで行うだけのものでもありません。SNSの可能性を最大限に引き出す新しいカウンセリング方法の研究・開発が必要なのです。心に重い荷物を抱えている人を支え、励まし、温かく繋がるために、SNSに何が出来るのか、関係者が力を合わせて追究してくことが重要だと思います。
学歴・キャリア
京都大学 学生総合支援センター長 カウンセリングルーム教授。教育学博士。臨床心理士。
1961年 神戸市生まれ。
京都大学教育学部、京都大学大学院教育学研究科にて臨床心理学を学ぶ。
大谷大学文学部専任講師、京都大学保健管理センター講師、京都大学カウンセリングセンター講師、教授を経て現職。所属する団体名・役職
- 国立大学法人 京都大学 学生総合支援センター センター長(教授)