設立の背景
若者のコミュニケーションの現状と、既存の相談窓口
若者を中心に、「電話」よりも「SNS」を活用するようになりました。総務省「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、10代及び20代の若者における平日のコミュニケーション系ツールの平均利用時間は、音声電話5分以内、SNS 60分程度となっています。一方で、既存の相談窓口の多くは対面相談、電話相談、メール相談であり、若者が相談したいと思っても相談しづらい環境になっているという現状がありました。
日本で初めてのSNS相談
若者と相談窓口のコミュニケーションのミスマッチが指摘される中、2017年9月、長野県での実証事業として、LINEを利用した中学生・高校生対象のいじめ・自殺相談が行われました。たった2週間の実施において電話相談の年間相談件数をはるかに上回り、電話相談の約160倍のアクセス、かつ8割以上が真剣な相談となりました。10代の若者においてはSNSを身近なツールとして認識されている可能性が高いことがわかりました。
SNSによる相談の試行「ひとりで悩まないで@長野」
試行期間:平成29年9月10日(日)~23日(土)17:00-21:00
対象:中学生、高校生等
相談体制:相談員10名(10回線)相談件数
2週間合計 1日平均 相談アクセス数 1,579人 112.8人 相談対応実績 547件 39.1件 電話相談 年間259件(1日平均0.7件)
平成29年11月 長野県教育委員会 学校生活相談 SNSによる相談「ひとりで悩まないで@長野」試行結果の概要より
SNSでの自殺志願者の事件
SNSアカウントを開設し、自殺願望があるような投稿をしたり、自殺願望を表明している女性に「一緒に自殺しよう」などと誘い出し、9人を殺害した事件が2017年10月30日に発覚しました。
SNSの利用が当たり前になっている社会において、大きな衝撃と不安感を与えたこの事件に関連し、「座間市における事件の再発防止に関する関係閣僚会議」が開催されました。3つの再発防止策のうち、自殺願望を発信する若者の心のケアに関する対策の中で「SNS等を活用した相談対応の強化」が示されました。
座間市における事件の再発防止策の概要(平成29年12月19日)
1.SNS等における自殺に関する不適切な書き込みへの対策
2.インターネットを通じて自殺願望を発信する若者の心のケアに関する対策
(1)ICTを活用した相談機能の強化
①ICTを活用した相談窓口への誘導の強化
②SNS等を活用した相談対応の強化3.インターネット上の有害環境から若者を守るための対策
全国SNSカウンセリング協議会設立
こうした流れを受け、SNSを活用した相談窓口の整備と、SNS相談における対応の質の向上が急務となりました。そこで、2017年12月、SNS事業者、システム事業者、心理カウンセラー、研究機関や教員など、これまで携わってきた諸団体を中心に「全国SNSカウンセリング協議会」を共同で設立いたしました。
SNSを通して安心して相談するための体制づくりや、SNS相談事業・SNSカウンセラーのスキル向上、システムの提供や数値解析等に取り組むことになりました。こうした知見を活かし、SNSを利用した相談窓口の開設や情報発信により、自殺やいじめ等の防止対策に積極的に取り組んでまいります。
概要
全国SNSカウンセリング協議会は幅広い連携のもと、下記を目的として活動を行っております。
1.SNS相談員のスキル向上の研修
2.SNS相談のノウハウの研究
3.高品質なSNS相談の普及等
名称 | 一般財団法人全国SNSカウンセリング協議会 |
代表理事 | 江口 清貴、高山 智司 |
所在地 | 〒107-0062 東京都港区南青山2-2-15-942 |
連絡先 | TEL:03-6403-3391 / FAX:03-6893-3931 info@smca.or.jp ※メールを送られる際は、「@」を半角にしてください |
URL | https://smca.or.jp/ |